まーむのあたまのなか

あたまのなかを言語化してみる

【おすすめ書籍】波の音が消えるまで 沢木耕太郎著

お題「我が家の本棚」

お題「#おうち時間

 

「岳」を読んで心が軽くなったら、しっとりズッシリとした大人の小説を味わってみましょう。
 
波の音が消えるまで 沢木耕太郎著
 

f:id:poq-MAMU-poq:20200514231141j:plain

 

沢木耕太郎といえば真骨頂はノンフィクションです。代表作の深夜特急は沢木読者の100%が読んだことがあると思います。私も読みました。深夜特急を読んでバックパック担いで旅に出るところまでが1セットですね(*'▽')


「岳」つながりで行くと「凍」(2006年講談社ノンフィクション賞を受賞)を猛烈におすすめにしたいです。これは絶望的なほどストイックな登山家:山野井夫妻(夫婦2人とも登山家)について書かれた話です。岳のラストにも三歩にこれでもかというくらいの試練が立て続けに起こります。山野井夫妻にもそんな試練が度重なりますが・・・この作品を読むには時代がもう少し明るくなったときのほうが絶対楽しめると思うのでこの話はまた今度。
 

f:id:poq-MAMU-poq:20200516141212j:plain



 
 「波の音が消えるまで」は、そんなノンフィクションの巨匠が描く小説です。
単行本では上下巻、文庫版では3部構成になっています。

文庫版では各巻にタイトルがついています。

第一部:風浪編

第二部:雷鳴編

第三部:銀河編

 

アマゾンのレビューを見ると単行本と文庫版で評価が星一つ分違います。
読者の層が違うのでしょう。

 

この作品は一言でいうと
「そこに行ったら、
ねっとりとした沼に、ゆっくり沈んでいく
そうなると分かっているのに
逃れることができないどうしようもない熱さに
取り憑かれた男の話」
 
この作品は楽しむという表現ではなく「味わう」とか「感じる」といった表現がぴったりあてはまると思います。
舞台はマカオ。
深夜特急の始まりも香港・マカオ編でした。

 

どうすることもできない。
どうしようもなさに人はあがなうことができるのか。
どうしようもないことに憑かれた人間がどうなるのか。
どうしようもないその衝動は憎むべきものなのか。
ある青年の物語です。

 
サーフィンに生きる夢が破れた青年:伊津航平が流れ着いたのはマカオのカジノ。
そこで出会ったのはカジノの王「バカラ」。
バカラの魔力に魅入られて次第に飲み込まれていく航平。
バカラの「必勝法」を探求する謎の老人:劉と出会いバカラの出目に、波のリズムを感じていく。
バカラをやるからこそ取り戻した情熱、出会い、別れ。
そして失うもの。
すべてを失い、すべてを賭けた航平は、バカラの台に生きることの最も純真なかたちを見出していく・・・。
 
マカオの湿度、カジノの熱気、屋台の喧騒や人間のもつどうしようもなさ。
そのどうしようもないものから逃れることのできない人間の性。
全体的にしっとりと、粘度のある空気感が充満している大人の小説。

 

学生の時には深夜特急を。

そして旅を。

「波の音が消えるまで」はそれを経て「大人」になったひとに読んでほしい、
感じてほしい小説です。