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【書評】ワクチンを打つ前に読むべき本【新型コロナ】

そろそろワクチンの接種が始まります。

「ワクチン早く打ちたいぜー('◇')ゞ」

「怖いから打たないよ (T_T)」

いろいろな意見がありますが、とりあえず新型コロナウィルスのために打つワクチンがどんなものか知るのに役に立つ本を紹介します。

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新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実

医師の峯宗太郎さんと編集者の山中さんの対談をまとめた本です。

「新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実」  日経BP

 

峯さんは病理医(フラジャイルの主人公と言えばわかりやすいですかね)で感染症の病理診断、ウィルス学、免疫学を専門としています。

ワクチンを語るなら、もう医師の中でもど真ん中の専門の方です。

ちなみにリモートで出演したラジオ番組で、居住しているアメリカでモデルナのワクチンをすでに接種したと言っていました。(居住地ごとにワクチンが割り振られるのでワクチンの製造会社は選べないと言っていました)

 

役に立つといって紹介していますが、この本を読んで痛感したのは

本を何冊か読んだだけで分かった風なこと言えるほど医学は浅くない('◇')ゞ

ってことです。

 

タンパク質を研究している友人にmRNAワクチンの仕組みを解説してもらいましたが、この本を読んた知識が最低限ないと理解が大変ということがよく分かりました。

 

まず、第一章の最初で「COVID-19」というのは病気の名前である。って言うところで、え!そうなの?となりました。

「COrona VIrus Disease」に2019年の19がついてCOVID-19。

COVID-19=「2019年に発生したコロナウィルスによる疾患」という意味です (゚Д゚)ホォー

ちなみにこのCOVID-19を引き起こすウィルスの名前は「SARSコロナウィルス2」(SARS-CoV-2)と名付けられました。

 

本の中で峯さんが感染症対策のルールをあげています。

・「3蜜(密閉・密集・密接)」を避け、換気を意識することが大事。

・「よく食べ」「よく眠る」が感染症対策のゴールデンルール。

地味だΣ(*゚Д`;).

 

他にも

・なぜ重傷者にステロイドが効果を発揮するのか?

・日本の会社*が開発したアビガンが抗ウィルス薬としてどう機能するか?

(*富士フィルム富山化学株式会社)

・人の免疫系の細胞は病原体に対応する様々なパターンの抗体を用意している。その種類は1無量大数(10の68乗)を超える。

「無量大数」という言葉を初めて意味のある形で使用しているのを見ました('◇')ゞ

 

PCR検査の感度についても書かれています。

 

ちなみにこの本の横に平積みにされていたPCR検査の検査方法を確立したことでノーベル化学賞をもらったキャリー・マリスの自伝本も読みました。(大好きな福岡伸一さんが翻訳したってことで)

まぁ、お勧めするほど良い本ではなかった(;^ω^)

まぁ、なかなかぶっ飛んだ方でLSDの体験談なんかも書いてあります。PCRの仕組みについてはページ少なめです。

興味のある方はどうぞ。

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マリス博士の奇想天外な人生:早川書房

本題に戻りますと、PCR検査を無策に拡大していくとどうなるのかということも書かれています。

 

今回の新型コロナウィルスのPCR検査では検査感度(陽性の人を陽性と判断する確率)が70%程度となっているので、偽陰性(本当は陽性なのに陰性とでてしまうひとが30%いる)の問題がある。

 

・例えば新型コロナウィルスに感染している陽性者を100人集めてPCR検査をしても陽性となるのは70人。30人は陰性と判断される。

・特異度(陰性の人が陰性と判断される確率)は99%となっている。つまり1%の人が陰性なのに陽性と判断される。

 

この上二つの条件をもとに国民の5%が感染していると仮定して検査を行うとどうなるのか。

先日、広島市で全員検査を実施するというニュースがありました。

 

www3.nhk.or.jp

 

ニュースの通り広島市民80万人を対象とした全員PCR検査を実施すると仮定します。

(広島の人口は約120万人。40万人は無料でも受けないだろうと想定している)

 

本当の感染者数:80万人×5%=4万人。

陽性者数:4万人×70%=2.8万人。

偽陰性者数(本当は陽性なのに陰性と判断される人):4万人×30%=1.2万人

特異度により陰性なのに陽性と判断される人:80万人×1%=0.8万人。

 

検査陽性者を隔離すると仮定すると、本当は感染していないのに8000人もの陰性者が、陽性者がいる隔離施設に収容されることになります。

そして本当は陽性なのに陰性の診断結果が出たと大手を振って1.2万人の陽性者が街に出ます・・・。

不安だからと言ってやみくもに検査を受けると、この8000人(陰性なのに陽性とでてしまう)に入る可能性があります。そして陽性者の隔離施設に収容される(ノll゚Д゚llヽ)オソロシ~!!!

 

5%が感染という仮定はかなり高めに見積もっています。

(現在の陽性率は体調不良や濃厚接触者が受検しているので)

実際には無作為で検査すると1%きるくらいだと思います。

そうするともっと悲惨で、

本当の感染者数:80万人×1%=8,000人。

陽性者数:8,000人×70%=5,600人。

偽陰性者数(本当は陽性なのに陰性と判断される人):8,000人×30%=2,400人

特異度により陰性なのに陽性と判断される人:80万人×1%=8,000人。

特異度により陰性なのに陽性と判断される人が本当の感染者数と同じ人数出てしまいます。

検査を複数回やればいいじゃないという反論にも答える内容も本書に収められています。 

 

そんな目に合わないためにも是非読んでみてください。